娘の成長に歯止めをかける昭和毒親父の暴言集

私は、昭和一桁生まれの父から、数々の「暴言」を聞かされて、ここまで生きてきました。

その「暴言」を聞かなかったら、まったく別の人生が切り拓かれていったのかもしれない、と最近よく思います。

私は、30歳になるまで、ずっと父と一緒に実家で暮らしていました。
その後、一人暮らしをして、結婚して子どもが生まれても、
比較的頻繁に、父と接する機会は多かったのです。

ですから、かつて父から聞かされた言葉や態度が、私の人生航路に影響を与えていないわけがありません。

人生を明るく好転的にとらえるというよりも、ネガティブで消極的な心の「癖」のなかに、その大きなインパクトを感じます。

ここでは、「暴言」という形で、私の人生にもたらしたであろう、
父から受けたネガティブな影響について振り返ってみようと思います。

2つの「暴言」

【その1】

私が20代はじめのころです。

作家の向田邦子さんが直木賞を受賞したとき、祝福される向田さんの姿をテレビで見て、
父は即座にこう言い放ちました。

「女のくせに生意気だ! 」

大学卒業を控えていた私に、「もっと勉強を続けてもいいんだぞ ! すぐに社会人にならなくても、大学院に行って、もっと専門性を磨いたっていいんだぞ 」
と、父はよく言っていました。

妙に、娘である私にはっぱをかけていたのです。

それなのに、現実に、社会で活躍する向田さんに対して、吐き捨てるように
ミソジニー(女性蔑視)の言葉を投げつけていました。

【その2】

時代が下って、私が50代半ばになったとき。

昔から、ダンスに興味があったので、近所にダンススタジオができたのをきっかけに、思い切って社交ダンスを習い始めました。

初めてダンスシューズを買って、レッスン用のヒラヒラしたフレアースカートもはいて、憧れの社交ダンスを始めたのが、私はうれしかったのです。

それまで、仕事や家事・育児に追われて、自分だけの時間を楽しむ余裕などありませんでした。
子どもも高校生になったし、私もいい年になってきたから、やりたいことをやってみよう!と珍しく前向きな気持ちになっていました。

「私、社交ダンス始めたのよ!」

と実家でウキウキして話したところ、

父が、ほとんど無表情のまま、

「やめとけ」

「お前の旦那は、このことを知っとるのか?」

とにべもなく言いました。

私のウキウキした気持ちは、どこかへ消えていきました。

暴言の解説

強い否定と禁止

今、思い出してみて、父のこの二つの言葉は、
「女がやることではない」という強い否定や禁止を
示していたことに気がつきました。

  女は、能力を活かして社会で活躍してはいけない

  女は、自由にやりたいことをやってはいけない

具体的に、それぞれを解説します。

【その1】

【その1】のケースは、1980年代の初めです。
「女の時代の幕開け」だったせいか、
大学で学ぶ娘に、できるだけ社会的に地位の高い学歴や身分を得てほしい、
という親の期待を、日ごろからちらつかせていました。

しかし、男性をさしおいてまで、社会的に脚光を浴びてはいけないのです。

明らかに、ダブルバインド(二重拘束)が見られます。

自分の羽を広げて、思いきりはばたいていってよいのか、
世の中が押し付ける「枠」に収まって、無難な人生を歩んだ方がよいのか。

親から、相反するダブルバインド(二重拘束)のメッセージを受けて、
人生の局面に思い悩むクライエントさんは多いです。

私自身も、自分がどのように生きていけばよいのか、さんざん迷ってきました。
その背景には、このダブルバインドの影響が少なからずあったと思います。

「女のくせに生意気だ ! 」という父の言葉を聞いたとき、
若い娘であった私は、おそらく呆然としていたのでしょう。

あのころの私はいつも、自分が何を感じているのか、自分の感情が自分でもよくわからなかったですから。

特にこのように、突然、父から暴力的に放たれた言葉に対して、
おそらく感覚が麻痺していたのではないでしょうか。

それでも、40年も経つのに、こんなに鮮やかにこのシーンを思い出せる
ということは、
明らかに、私の心に深く刻まれてしまった言葉なのでしょう。

【その2】

また、【その2】では、父が生まれ育った時代に「よし」とされた
既婚女性のあるべき姿から、どうやら、わが娘がはみ出しているらしい。

これはけしからん。

と80代半ばの老父が、
苦言を呈した、ということのようです。

しかし、わが娘といっても、いったい、いくつのお嬢さんなのでしょうか?
社交ダンスは、夫婦の関係をそこないかねない、危険な習い事なのでしょうか?

娘可愛いやの親心と、親の過干渉という「支配」が、表裏一体になっているのを感じます。

このときは、私も年齢を重ねて、少しはふてぶてしくなっていましたから、
父の言葉に呆れて、爆笑するしかありませんでした。

親は子どもの時代よりも前の時代を生きてきた

以上、私が父親から聞かされた「暴言」2選をご紹介しました。

今、私の人生を振り返ると、

自分の能力を活かして、周りから喜ばれる場面もありましたが、
社会の中で、父のような「古い」思考の向かい風も激しくて、

どこかで自分にストッパーをかけてきたかもしれません。

自由に、やりたいことができなかったかもしれません。

あのとき、自分の本当の「声」に耳を澄ましていればー。

あのとき、自分が選びたい「道」を選んでいればー。

そう悔やまれることがたびたびありました。

私が父から受けたようなメッセージ(暴言)に洗脳されて、
自分が本当にやりたいことができなくなるなんて。

これは、絶対に避けたいことです。

親は常に、子どもの時代よりも前の時代を生きてきた人です。
これを、忘れてはいけません。

ものの考え方やとらえ方。
男性として、女性として、人間として、どう生きていけばよいのか。

これには、
今よりも「前の時代の」、歴史や社会、文化の影響が色濃く反映しています。

親だって、その「前の時代の」、歴史や社会、文化の影響を受けた
考え方やとらえ方のために、窮屈な思い、悔しい思い、つらい思いを
繰り返してきたはずなのに。

なぜか、子どもには堂々と、その古い価値観や思考パターンは
「絶対的に正しい」と言い張るのですよね。

親が放つ言葉を、そのまま受け止める必要はありません。

新しい時代を生きる自分の成長に
歯止めをかけてしまうかもしれないからです。

小宮紹江

小宮紹江

小宮紹江
親子のかかわり改善ラボ 代表/セラピスト
別名は
「過干渉する・否定する・愚痴る親とのコミュニケーション改善ママ」

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