先輩のAさん

30代はじめに転職した職場に、Aさんという「お局様」がいました。
50歳前後のキャリアーウーマンで、幼稚園の栄養士から始めて管理栄養士の資格を取り、その職場では、子ども向けの栄養雑誌の編集者として活躍している、というたたき上げの人でした。

問題は、Aさんが私をはじめ、まわりの同僚全員の仕事に口出しをすることでした。
Aさん自身の仕事に関係がないのに、ああしたらいい、こうしたらいい、と過剰なおせっかいを焼かれて、みんながAさんを敬遠していました。

宴会では酒癖が悪く、人にはからむし、とにかくクセの強い人でした。

私も、転職して、ようやく自分のやりたい仕事を始めて張り切っているのに、あれこれ見当はずれなアドバイスを連発されて、Aさんのことは嫌いでした。できるだけ関わらないように、常にAさんを警戒していました。

でも、その職場で勤め続ける中で、たしか、私が転職して10年くらい経ったころでしたか、少しずつ、私のAさんを見る眼が変わっていきました。

Aさんって、本当はどんな人なのだろう? Aさんと話がしてみたい、と思うようになっていったのです。

Aさんは、当時、相次いで倒れたお父さんとお母さんの介護に必死でした。

「母は、幼い私をしょっちゅう叩いてたのよー ! 昔の子育ては、虐待が当たり前だったよねー !」

Aさんはサバサバした口調でぼやきながら、フルタイムで出張が多いにもかかわらず、週末には欠かさず、レンタカーでご両親が別々に入っている施設と病院に通っていました。

嫌いだった人、避けたかったはずの人なのに、その人が親御さんのことで苦労していると知るだけで、その人への印象や気持ちがこんなに変わるものなのですね。

私は今、当時のAさんの年齢を超え、私自身の親の介護と看取りも終えました。

そして、Aさんと一緒に働いているときには夢にも思っていませんでしたが、こうして、
親とのかかわりに悩んでいる方々へのお手伝いを始めています。

もっともっと、Aさんが近く感じられます。

私が経験したように、親子の問題で苦労している人、困っている人のことを少しでも理解するだけで、その人と自分とのかかわり方が大きく変わっていきます。

私と一緒に、「親子のかかわり」というキーワードをとおして、まわりの人とよりよい関係性を築いていきませんか?

わかり合える人の数は、意外に多いみたいです。

 

 

小宮紹江

小宮紹江

小宮紹江
親子のかかわり改善ラボ 代表/セラピスト
別名は
「過干渉する・否定する・愚痴る親とのコミュニケーション改善ママ」

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